オーダーキッチン完成後のお宅を訪ねました④
F−FURNITUREはキッチンが完成しお引き渡しをしたあとも、メンテナンスや点検のため御施主様のお宅にうかがっています。
すべての御施主様に思い出がありますが、特に印象深かったのが岐阜県高山市の阪本浩二さん、奈都子さんご夫妻のお宅。というのも、浩二さんは設計・施工業を営み、自宅のデザインもご夫妻でされたから。完成から1年経った今、どんなふうに暮らされているのでしょうか。
◆岐阜県高山市 新築一戸建て
◆ご家族構成
◆阪本浩二さん(38歳・建築士、大工)、奈都子さん(38歳・看護師)
◆長男(10歳)、長女(10歳)、次女(6歳)
◆阪本建設設計事務所
吹き抜けになった開放的なLDK。キッチンカウンターの後ろには、長さ6mもの収納をレイアウト。冷蔵庫や家電、ゴミ箱があるスペースはリビング側から死角になって見えないように設計したとか。キッチンカウンター左手にある扉は3畳もあるランドリースペース、右側の扉はパントリーにつながります。
建築設計事務所を営む浩二さんと、看護師の奈都子さん。自宅を新築するうえで、「いちばん優先順位は高かったのはキッチンでした」と振り返ります。
10歳の双子の男の子と女の子、6歳の女の子を育てるお二人。食事の時間を大切にしながら家事はスムーズにストレスなくすすめることは、大きなテーマだったとか。
「最初は世の中にオーダーキッチンというものがあるということを知らなかったんです」というのは奈都子さん。システムキッチンのショールームを巡りましたが、なかなかピンとくるものとは出合えませんでした。ピンタレストでいいなと思うキッチンの画像を集めていたそうですが、それはほとんど海外のもの。いろいろと調べていくうちに、理想のキッチンを形にするにはオーダーメイドするしかないと考えるように。
一方、建築家として自分の家では、ほかの案件ではなかなかできないことをやってみたかった浩二さん。「オーダーキッチンを取り入れよう」と意見が一致し、リサーチを開始。それで、F−FURNITUREを見つけてくださったそうです。
キッチンとランドリールームは隣り合わせ。ランドリールームはさらにファミリークロゼット、バスルーム、リビングとぐるりと回遊するようにつながっている。なんて家事がスムーズな間取りなんでしょうか!ファミリークロゼットをランドリールームとバスルームの間に設けたのは、子どもたちの着替えや衣替えをラクに、ということで考え抜いたプラン。
こちらはパントリー。普段は使わない大人数の食器、飲みものやアイスクリーム用の小さい冷蔵庫、お酒のストックを置いています。「メインの冷蔵庫には液体調味料を保存していて場所をとるので、サブの冷蔵庫があると助かります」
阪本さん夫妻からF−FURNITUREにいただいたリクエストのひとつに、キッチンカウンターに使用する木材と壁面収納の引き出しの木材をそろえたい、ということがありました。浩二さんが選んだのは無垢の節の入ったオーク材。
「リクエストしたことにはほぼ応えてくださいました。細かな理想をかなえられるのもオーダーならではですね」
キッチンカウンター、収納には節がアクセントになるようにバランスを見ながらオーク材を取り入れました。収納の天板部分はベルギーの左官材、モールテックス。リビングのテレビボードとともに、浩二さんが自作。
「この面と面とが接する部分のあまりのきれいさ、シャープさにずきゅん!ときました」(奈都子さん)。
また、扉や引き出しが静かに閉まることにも感動したそう。そうなんです!こういった細やかなところにこそ職人の高い技術がかくれているんです。
「カウンターまわりはすっきりさせたい」と、カウンタートップの素材はステンレスに。シンクと一体化した特注で、見た目のシンプルさ、そうじのしやすさ、頑丈さは折り紙付きです。「シンクのアールひとつとっても好きなデザインを叶えてくれるのがすごい」(浩二さん)。
コンロは本当はガスを希望されていましたが、オール電化住宅のためIHを採用。デザインが気に入った、と、ドイツのtekaの3連低電磁波クッキングヒーターをセレクト。「魚焼きグリルも温度センサーもないですが、オーブンや温度計を使うことでカバーできています。五徳など複雑な形状ではないのでそうじがラク」と奈都子さん。
カウンタートップとクッキングヒーターのつなぎめもこのとおり、すっきり。見た目もよく、そうじが簡単でいつもピカピカ。
5人分の食器はミーレの食洗機が、きれいに洗い上げてくれます。
そして、奈都子さんの一番のお気に入りはシンク下の水切り専用スペース。
「フルタイムで遅く帰ってくることもあるので、牛乳パックや子どもの水筒など食器乾燥機にいれられないものを洗ってすぐに拭き上げる、乾燥させるのは難しいなと。せっかくのフルオープンキッチンに洗ったプラごみやビールの缶などを置きっぱなしにするのはいやだったので、一時置き場みたいなものができないか相談したんです」
できますよ、と私たちも試行錯誤して作ったのがこちら。
引き出すと、ふきんや水筒、プラスチックゴミ、牛乳パックなどが干せるようになっています。
引き出しのなかが湿気てしまうのは困りもの。表からはそんなふうには見えませんが、引き出しの上部と底に通気口をもうけて自然に風が流れるようにしています。
「見せたくないものをここで干しておけるというのが、すごく助かります」
下には珪藻土マットを敷いて、さらに湿気をカット。翌朝には乾いているので、片付けがさらにスムーズに。
キッチンが快適になったせいか長女はお米をといだり、お味噌汁を作ったりとお手伝いへの威力が格段にアップ。浩二さんもこの家ができてから「きれいに保つのが楽しい」と家事に目覚めたとか。「オーダーキッチンってもしかしたら高いイメージがあるかもしれませんが、自分たちの暮らしをよりよくしてくれて、世界にひとつだけのものができる。自分のクライアントにも、オーダーキッチンをおすすめしています」
実は、浩二さんが現在設計中の住宅でF−FURNITUREはオーダーキッチンを担当中。また近いうちに、その様子もお届けします!
建築設計・施工 阪本建設設計事務所
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阪本さん
お忙しいところインタビューに応えていただき、誠にありがとうございました。
スタッフ一同心より感謝申し上げます。
取材・文/柳澤智子