オーダーキッチン完成後のお宅を訪ねました②
F−FURNITUREはキッチンが完成しお引き渡しをしたあとにも、お施主様宅を点検やメンテナンスでお訪ねしています。
今回は、京都府のTさん宅を訪ねました。
家が完成し、暮らし始めて1年 F−FURNITUREのキッチンは、お役に立てているでしょうか?
京都府 Tさん
ご家族構成 夫(40代)、妻(40代)、中学生の双子の女の子、トイプードル1匹
2018年11月に新築した木造平屋。中庭もほしい、とのことからロの字の形となり、結果キッチンは家を見渡せる一番いい場所に。
「高校生の頃から暮らしに興味がある子で。
料理家の栗原はるみさんの暮らしやマタノアツコさんの絵本の世界に憧れては、アルバイト代で本を買っていました」
そう話すTさん。
いつか結婚して家庭を持ったら、季節に応じたしつらえを欠かさず、好きなエプロンをつけて料理を楽しみたい。
大勢の人とテーブルを囲みたい……。ライフスタイルという言葉が今のように浸透するずっと前、独身の頃から暮らしの理想像があり、間に合わせでなにかを買う、ということはしなかったそう。
それは、キッチンのそこかしこに隠された器や道具からもみてとれます。
ガラス作家・辻和美さんの照明、木工デザイナー・三谷龍二さんの壁掛け時計、陶芸家・井山三希子さんの器、塗師・赤木明登さんの塗り椀、鍛造作家・成田理俊さんのフライパン……。
作家の個展に足を運び、時間をかけて一期一会で買い求めてきたものばかり。
ガラス作家の辻和美さんの照明。
個展に足を運び、集めた器たち。季節や気分に合わせて使い分けているそう。
よく使うフライパンやざるは吊るして見せる収納。
思い出が詰まった作家による暮らしの道具。
キッチンと隣接する家事部屋に棚をもうけ、そこにディスプレイしている。
「私にとってはお宝。嫌なことがあっても眺めていると元気になるんです。癒し部屋(笑)」
キッチン横に配置した、Tさんの家事部屋にはお気に入りの器たちがずらり。
「前の家のキッチンが小さかったんです。娘たちが手伝いたい、といってくれても狭いから、危ないからと一緒に立つこともできなくて。
それでも道具を吊るしたり棚を増やしたり、DIYで工夫はしていたんですけど。
家を建てるにあたってキッチンをオーダーすることになって、こういうふうに生活をして、こういうふうにキッチンを使っているということを知っていただきたい、
と細かい写真をとって、持っている鍋など道具の絵とサイズもかきだして」
Tさんのキッチンに対する想いや、キッチンのアイデアなどたくさんの資料たち。
Tさんのお話をうかがううち、プランを考える上で一番大切なのは、収納や機能、動線をおさえたうえでキッチンが自分の場所となることだと、F−FURNITUREは考えました。
季節の花を飾れるようにキッチンカウンターは余裕のあるサイズに。お気に入りの道具や絵をライトアップして、目と心が安らぐような照明計画を建築家と共に行いました。
Tさんが長く夢見た暮らしのかたちに寄り添えるような“遊び”も提案させていただきました。
楚々とした自然な花が好き、とTさん。
初夏らしいブルーベリーをメインに。
計量スプーンの絵は、大橋歩さんの作品。キッチンにも小さなアートを。
さて、ここからは少し機能のご紹介を。
大勢でわいわいと囲めるように、キッチンの形状はアイランド型に設計しました。
最初はペニンシュラ型も提案していましたが、くるくると周囲をまわれたほうが動線がいいだろうと、アイランド型に。
「四方八方から囲めるので、娘たちだけでなく夫もキッチンに立つようになったんです。これは、前の家ではあまりなかったことかな」
材料を切ったり洗いものをするほうのカウンターの高さは88cm、コンロ側のカウンターは85cmと微妙に変えています。
「私の身長(162㎝)ですと、ワークトップにまな板を置き、食材を切る時に少し高いほうが作業がしやすいので、高さを88㎝にしていただきました。
コンロで炒め物するときは、少し低い方が鍋の中がよく見えるので高さを私に合わせて変えていただきました」
そして、料理好きというTさんの希望で、コンロは合わせて5口。4口はIH、1口はガスと両方のいいとこどり。どちらも、ドイツ・ガゲナウ社製です。
「IHはタイマーが使えるから煮込みに便利。ガスも土鍋を使いたいときや、さっと海苔をあぶったり、トーストを直火で焼いたりできますよね。
本当はガスだけにしようと思っていたんですが、両方入れていただきました」
60㎝幅のドイツ・ガゲナウ社製の食洗機をビルトイン。
「たくさんの友人を招いてのバーベキューやパーティーをした後も、しっかり洗えるし。
食洗機があってよかった」とTさん。
また、食洗機を開けたすぐ対面に食器を収納する引き出しを配置し、手早く片付けることができます。
この春からお弁当づくりが始まったというTさん。お嬢さんの分とご主人の分合わせて3つ。
「子どもがある程度大きくなったら私ができることって、おいしいごはんを作ることくらいだなって」、日中空いた時間でお弁当のおかずのストックを数種類作りおきしている、といいます。
色とりどりで栄養バランスも考えられたお弁当。
ほとんどの時間をキッチンで過ごしている、というTさん。十何年も前から思っていた理想のキッチンになったでしょうか?
「なりましたよ! 今日、ちょっと使いづらいなと思っていた炊飯器とポット置きのメンテナンスと、カトラリーを入れる引き出し専用のトレイも持って来ていただいて。
さらに、理想のかたちになりました」
冷蔵庫から取り出したものを一時置けるような場所がほしい、と今回のメンテナンスでは、引き出せる作業台を新設工事。
炊飯器とポットが別々に引き出せるようにも。
引き出しぴったりサイズにつくったカトラリー用トレイ。
「このままテーブルにサーブできていいですね」
【キッチン詳細】
◆壁面キッチン(コンロ側) W:2745 D:650 H:850
IH・ガスコンロ:ガゲナウ社製
◆アイランドキッチン(シンク側) W:2050 D:1000 H:880(ワークトップ高さ)
食洗機:ガゲナウ社製 シンク:オリジナルシンク 水栓:グローエ グラシア
インタビュー・文 柳沢智子
Tさん
お忙しいところインタビューに応えていただき、誠にありがとうございました。
スタッフ一同心より感謝申し上げます。